超幻想TRPG ver.0.9.3 サンプルシナリオA ver.0.9.0 ・もしこのシナリオを一人で遊ぶ(KPも全てのPLも兼ねる)なら、PCを一人で二人分使っても構いません。  PCが依頼を受けて連続殺人事件の捜査を行うシナリオです(PCの社会的な立場などの設定はPLが自由に設定して構いません)。PCの行動ごとに時間が経過する時間制限付きの構成になっています。ただし、難易度は低めで、時間切れになってもPCが特別な不利益を被る事はありません。また、時間制限のないシナリオとしてプレイする事も出来ます。  捜査の進行度合いを「捜査ポイント」という値で管理します。捜査ポイントは特別な理由がなければ全PCで共有され、獲得の条件となる[能力]ロールに同時に複数のPCが成功しても、合計で一回分の成功として判定されます。また、調査ポイントについてはPCに公開しなくても構いません。  最終的に、PCvs敵の戦闘が発生します。  PCは二人を想定しています。PCの人数が変わるなら、敵の能力値も変更してください。また、PCは全員、特別な理由がなければシナリオ中では常に一緒に行動する事を想定しています。 ・PL用の事前説明(このシナリオのPCの設定です。PC作成から直接このシナリオを遊ぶ事を決めている場合は、PC作成の時点でKPがこれらを説明しておいても良いでしょう)  PCは東堂 敬子(とうどう けいこ)という17歳の少女と知り合いです。東堂は超能力者であり、その能力によって悪を成敗する義賊のような事をやっています。また、時々PCにその活動への協力を依頼してくる事があります。このシナリオも、東堂からPCに持ち込まれた案件の一つとなります(PCは、このシナリオが東堂からの初めての依頼である事にしても構いません)。PCは東堂に協力する事に少なくとも「どちらかと言えば協力的」という立場です(嫌々従っているという事にしても構いません。逆に「全面的に支持している」という立場でももちろん構いません。東堂に協力的であるほどスムーズにシナリオが進行するでしょう)。  PCは予め、「東堂との関係表」から、このシナリオ開始以前からの東堂とPCとの関係を決めておいてください(1d6のロールで決めても、PLが自由に選んでも構いません)。どの関係でも、東堂からのPCの表面上の扱いはほぼ変化しません。どの関係であっても、東堂はPCに何らかの依頼(指示、命令)をする立場で、PCはそれを聞く立場になります。 東堂との関係表 1駒     あなたは東堂の駒だ。あるいは、あなたが(も)東堂を利用している。 2弟妹    あなたは東堂を姉のように慕っている。 3仲間    あなたは東堂の仲間だ。少なくとも協力関係にある。 4助けられた あなたは過去に東堂に助けられた事がある。 5助けた   あなたは過去に東堂を助けた事がある。 6お気に入り 東堂はあなたの事をやけに気に入っている。 ・導入パート  PCはある日東堂から呼び出しを受け、待ち合わせ場所に向かいます(カフェや公園など。東堂の方からPCを訪ねてきた事にしても構いません)。もしもPC同士が初対面ならここで自己紹介をさせても構いません。  東堂は、最近巷を賑わせている連続殺人事件の捜査と解決をPCに依頼してきます。  この時[時事]に成功すれば、捜査ポイントに+1(初期値は−8)し、PCはニュースや噂話などを通して、その事件について少しの予備知識を持っているものとします。  [時事]に成功したPCが持っている予備知識は以下の通りです。予備知識が無くても、東堂に事件についての解説を求めれば同じ話をされます。どれもテレビや新聞で普通に報道された程度の内容で、誰でも知っている可能性があります。  4日置きに恐らく同一の凶器で犯行が行われている。凶器は未発見で、被害者の傷から、推定では巨大な刃物(刀剣類)。この凶器の特徴が、事件を同一犯による連続殺人と見なさせている。  犯行時刻は不明。被害者の背景に共通点は無く、全員凶器によるショック症状か失血によって死亡している。  犯行現場は全て屋外。一般的な道路で、被害者の生活圏内でもある。事件が発生した現場と遺体が発見された現場は同じとされている。  現在までの被害者は四人(最初と見られる事件が起こったのは12日前)。いずれも一人でいた所を襲われたと見られる。直近の被害者が発見されたのは今日の朝。  東堂からの情報に予備知識以上の物はなく、聞いたとしても捜査ポイントに+はされません(予備知識がない状態で聞いたとしても+されません)。  東堂は事件について全く詳しくありません。予備知識持ちのPCの方が詳しいでしょう。  東堂はPCとは別行動をする事になります(PCが強く希望し、KPが東堂のRPを負担としないのであれば一緒に行動させても構いません(非推奨)。この場合、東堂はNPCというよりも、「KPが動かすPC」という扱いに近くなるでしょう)。 ・捜査パート  一日に一回、[感応]で事件についての聞き込みか、[観察]で事件現場の調査が出来ます。成功すると捜査ポイントに+1。成功した場合、更に[感応]で犯人について推理する事が出来ます。成功すれば捜査ポイントを追加で+1。  聞き込みか現場調査のどちらかを一回行ったら一日が終了します(推理が発生する場合はその後で一日終了)([能力]ロールなので振り直し可能)  捜査パートやその前段階(PC作成を含む)で、PCが何らかの準備を行おうとする場合は、捜査の権利を残したまま(時間の経過を計算せずに)行わせても構いません。ただし、武器型の超能力以上の[威力]の武器を準備したり、支障なく携行する手段はないでしょう。  捜査中に東堂と情報を交換したり、経過を報告したい場合は、7日目と、13日目の犯行予測ロールの前に会う事が出来ます。逆に、それ以外の日には東堂と連絡がつかないか、断られます(ある程度以上の情報がまとまってから報告するように言われる等)。東堂と情報交換を行えば、捜査ポイントに+1。[感応]で推理も行う事が出来ます(東堂のRPが負担になりそうであれば、東堂と解散してから行っても良いでしょう)。情報交換に時間を使うと、代わりに、聞き込み、捜査は行えません(東堂との情報交換はPCが自発的に希望した時のみ行い、KP側からこの選択肢を勧める必要はありません(この選択肢の存在自体も提示する必要はありません)。  判定に成功し、捜査ポイントが+される毎に、KPはPCが得た情報について説明します(詳細は省略しても構いません)。 聞き込み  これまでの事件が起こった正確な位置、現場近くで目撃例が複数ある人物(ダブついた服を着た背の高い男)、予想される犯行時刻(日の出から二時間の間)、被害者の共通点(全員通学か通勤の途中だった(制服やスーツ、作業着を着ていた)、当時の現場の状況(大量の血が一面に広がっていた、被害者の所持品であるカバンなどが、開かれた形跡もなくその場に落ちていた)、巨大な凶器を隠して運べるような荷物を持っていた人物は目撃されていない、近隣で特に事件の予兆のような物は見られなかった(人為的と見られる小動物の殺傷など)等。 調査  事件現場の正確な位置、事件現場の共通点(車道と歩道の区別がなく交通量も少ないが舗装された道である)、周囲にわずかに残っている証拠(血痕、何か硬い物をぶつけたような新しい痕、アクセサリーの破片)、捜査中に現場近くを通行する人やその様子(聞き込みで目撃例が複数ある人物についてまだ判明していない場合、さりげなくそれを見かけた事にしても良いかも知れません)等  これらは、KPが自由に改変したり、追加、あるいは削減してください。  スタートから5、9、13日目の開始時に、PC全員で合計一回だけ、1d6の犯行地点の予測ロール(振り直し不可)を行います(誰が行っても構いません。演出上犯行を予測する役割に相応しそうであったり、それまでの[能力]ロールの成功状況などから決めても良いでしょう)。目標値は捜査ポイントと同じです(0以下であれば出目に関わらず失敗します)。成功なら、犯人の次の犯行現場に先回りし、待ち伏せする事が出来ます(PCの判断で、物陰に隠れて通行人が襲われないか見張ったり、PC自身が囮になったりする事もあるでしょう(PCが隠れている場合、KPは、犯人の[観察](6)や[聴取](10)でそれを見抜かせても構いません。その場合は、犯人はPCに不意打ちを仕掛けようとするでしょう)。失敗なら犯人を見つける事は出来ません(失敗である事をロールの直後にPLに伝える必要はありません)。次の日、新たな事件で被害者が死亡した事が判明し、PCは、0:1d6/2(端数切り上げ)のショックを受ける事になります。  また、5、9、13日目は犯人探しに費やすため、通常の捜査は行えません。  犯行予測ロール時、出目が目標値に1だけ足りない場合は、準成功として、[聴取]で被害者の悲鳴を聞きつける等で現場に駆けつける事が出来ます。この場合、被害者は傷を負うものの、死亡する事はありません。  犯人は既に逃走していますが、被害者から犯人が逃げた方向を聞けば追いかける事が出来ます(先に救急車に乗せるなどした場合は聞きそびれる事もあります)。犯人を追いかける場合、[身体]に成功したPCは何者かに追いつく事が出来ます。さらに[観察]か[感応]に成功すれば、その何者かの服に付着した、犯人の証である返り血に気付く事が出来ます。  犯人が人外であれば原形への変形を、超能力者であれば武器型の超能力の発現を押さえれば、事件の犯人であるとみなして構いません(今回の事件との関わりは確定ではありませんが、どちらにせよそれらは倒されなければいけません。また、倒す事で新たな事件は発生しなくなるため、確かに犯人であったとする事が出来ます。あるいは、戦闘前に犯人に自白させても構いません)。  追い詰められた犯人は、すぐさまPC達を始末しようとしてくるため、戦闘となります。 ・戦闘パート  戦闘の主導権がどちらにあるかは状況に合わせてKPが判断します(待ち伏せに成功した場合はPC側、犯人の[観察]などで隠れていたのを見抜かれた場合は、犯人からの不意打ちにより、敵側が主導権を持ちます)。PC側の武器型の超能力の発現は、敵側の原形化に合わせて行った事にし、戦闘開始時には既に発現が完了している事にして構いません。  準成功から戦闘になった場合、犯人を追う際に[身体]に成功していなかったPCは戦闘に参加するのが一ターン遅れるという事にしても構いません(この場合、[身体]ロールを行う前に、成功したPCと失敗したPCで距離が開いてしまう事を説明しても良いかも知れません)。 エネミーデータ  連続殺人事件の犯人 人外 [生命]18/18[防御]9/9[感応]5[身体]10[知識]6[観察]6[聴取]10[精神]0[超常]5  武器:巨大な鉤爪[威力]1d6+4[耐久]9/9  特徴:全身が薄い毛皮に覆われ、両手の指のそれぞれ一本ずつに、刃物のように鋭く巨大に発達した爪が生えている。 超能力1:変形 任意発動:人間に擬態した姿と、人外としての本来の姿(原形)を使い分ける事が出来る(原形時に、武器として「巨大な鉤爪[威力]1d+6+5[耐久]8/8」を得る。擬態時にこれを失う)。  敵は自分が最も有利になるように行動して構いません(武器の[耐久]を1残すように防御するなど)。敵が逃げる事はありません。PC全員か敵が死亡するまで戦闘を続けてください。PCが逃走したい場合は[身体]に成功すれば逃げられます(PCが逃げた場合は下記の「13日目終了までに犯人を捕まえられなかった場合」に進みます(PCが逃げようとする場合、KPはシナリオがクリア出来なくなる事をPLに伝えた方が良いでしょう)。時間制限のないシナリオとして遊んでいる場合は、犯行予測ロールに失敗し犯人を見つけられなかった場合と同じ扱いをしても構いません(その日の被害者はいませんが、PC自身が死の恐怖を味わった事で同様にショックを受けます(受けるショックは1:1d6にします)。  敵は[精神]が0になっている(狂気に取りつかれている)存在です。犯行動機などに深い理由はありません。もしPLに敵がロールの振り直しを行わない理由を訊かれた時は、単に「振り直しの能力を持っていないから」ではなく、敵が既に狂っていて、振り直しに使える[精神]が残っていないから(より良い結果を引き寄せられるだけの心の強さがないから)と答えても良いでしょう。  敵(犯人)の能力値等の設定についてはKPが自由に変更しても構いません。もしPCが一人だけであるなら、敵の[生命]などを少なくする目的で、人間の超能力者であるという事にするのが良いでしょう(人間を殺した場合、PCは1:1d6のショックを受けます)。  もし東堂が戦闘に参加している場合、東堂は東堂自身が最も有利になるように行動します(引き付けを行わないなど)。   ・戦闘に勝利した場合、戦闘後に東堂が現場に駆け付けます(戦闘開始前〜戦闘終了直後辺りでPCが東堂に連絡を取ろうとしたなら、東堂はPCからの連絡を受けて駆け付けた事にします)。  東堂は犯人の死体を確認すると、PC達に簡単な労いの言葉を掛け、後で連絡をすると続けます。そして、東堂と一緒にやってきた男が持っていた大きな袋の中に死体を押し込むと、死体を抱えてさっさとその場を去ってしまいます。  犯人が超能力者(人間)であった場合は、死体はその場に放置して、PCを伴ってこの場を離れます。PCが犯人の死体を残していく事を心配するようであれば、東堂は「それよりこの場を離れる方が大事よ」とか言ってPCを説得します。それでもPCが譲らない場合は犯人が人外だった場合と同じく死体を袋に入れて持ち去る事にします。あるいは、PCを置いて自分たちだけさっさと立ち去ってしまいます。PCが警察に犯人の死体について通報し、警察に事情を聴かれる事になっても、PCが自供しない限りは、警察はPCの事をただの第一発見者、犯人を新たな被害者の一人であると判断し、すぐにPCを開放します(PCも犯人も同様に刃物系の武器型の超能力を使っている想定です。これまでの被害者と、PCに倒された犯人の違いは警察からは判別されず、PCに嫌疑がかけられる事もありません)。  事件解決後に東堂と会うと、改めて、労いと、PCの活躍を称える言葉をかけられ、あれから連続殺人事件も起こっていない事を聞かされます。ただし、事件が発生しなくなっただけで、犯人が捕まったとされている訳ではないので、世間には未だに緊張感が漂っています。しかしそれも、事件の存在自体も含めて、世の中からは徐々に忘れ去られていくでしょう(東堂が持ち去った犯人の死体についてPCが尋ねたら、人目につかないように既に処分したと答えられます)。  クリア報酬として、PCの[精神]を2d6回復します。[生命]や[防御]の減少分も全回復します。 ・13日目終了時に犯人を捕まえられなかった場合、数日後に東堂から犯人を見つけて始末した事を聞かされます。  事件は一応解決しましたが、PCには確かな達成感や開放感といった物は感じられないでしょう。  クリア報酬としてのPCの[精神]の回復は2になります。敵から逃走しており、自身の目撃情報などで東堂が犯人を始末するのに協力出来た場合は3、犯行予測で準成功したために被害者を一人以上助ける事が出来ていた場合は1d6+1にしても構いません。[生命]や[防御]の減少分は全回復します。 ・KPはシナリオの13日制限を無視して、PCが事件を解決するまでシナリオを継続しても構いません。その場合も、事件は4日ごとに発生し、東堂との情報交換等は6日ごとに行う事が出来ます。ペナルティは特にないので、プレイする時間に余裕があるのなら初めから時間制限はないものとしてプレイを開始しても良いでしょう。 ・事件を解決出来ないままPCの[精神]が尽きた場合のED(案)  一向に事件解決の糸口が掴めないまま、次々と被害者が増えていく中で、PCは己の無力感に苛まれると同時に、ふと、自分もこの連続殺人の被害者になる可能性があるという当然の事実に気付きます。犯人を追い詰めようとしているのだから、その事を相手に気付かれていれば、むしろ真っ先に標的にされてもおかしくないでしょう。姿の見えない殺人鬼はどこに潜んでいるのかも分かりません。視界に入る全ての人が自分を殺そうとしているような気がします。物陰から自分を狙っているように思えてなりません。PCの精神は遂に、自身の直ぐ近くに迫っている死の恐怖に押し潰されてしまいました(最後にショックロールを行って、PCが陥るショック状態を決めても構いません(ロールを行わずに選んでも良いでしょう)。このショック状態は永続する物とします)。 ・このシナリオを繰り返し遊ぶ場合、犯人の能力値、捜査で判明する事件の情報、各種数字類(事件の発生間隔、日数制限、東堂と情報交換が出来る間隔など)などを変える事で、別の事件にする事が出来ます。