超幻想TRPG ver.0.9.3 基本ルール ・必要な物  PL(遊ぶ人)一人につき、サイコロ(六面ダイス)二つ、メモ用紙、筆記用具を用意してください。KP(進行役)はサイコロとメモ用紙、筆記用具に加えて、ゲームのシナリオも用意してください。KPが使用するサイコロは多い程便利です。  サイコロは全体で二つでも、一つでもプレイ自体は可能ですが、とても不便です。 ・能力ロール  PC(PLが操作するキャラクター。PLを含む場合も)の行動の成否は2d6(サイコロふたつの出目の合計)で判定します。2d6の結果が対応した能力値以下なら成功と判定されます。  能力ロールを行う事とその判定に使用する能力を併せて「[(判定に使う能力名)]ロール」と呼ぶ事もあります。  [威力]ロールのみ、使用する武器の[威力]によってダイスの個数が変化し、出目が与ダメージになります。 ・修正  特に簡単であったり、逆に難しい行動の判定を行う場合、KPは一時的に、判定に使う能力の値をその行動の難易度に合わせて増減させる事が出来ます。この増減の事を「修正」と呼びます。簡単な行動は+、難しい行動は−の修正が加えられます。判定が終わった時点でこの修正は打ち消され、能力の値は元に戻ります。 ・精神ロール  PCが、恐ろしい、あるいは悲しい状況に遭遇した時、どれだけの精神的な負担を感じるかを判定します。精神ロールでは、[精神]ではなく、[感応]の値で判定を行います([精神]で判定するロールは存在しません)。判定に"成功すると"、状況に応じて"より大きなショックを受ける"事になります。  目安として、人間の死体を見た事で受けるショックは、精神ロールに失敗すれば0、成功すれば1d6です(「0:1d6のショックを受ける」のように短縮して書かれる事もあります)。 ・ダメージとショック  外的要因による[生命]の減少は「ダメージ」、精神的な動揺、衝撃による[精神]の減少は「ショック」と呼びます。  [生命(精神)]が減少する事を「ダメージ(ショック)を受ける」と言います。また、相手の[生命(精神)]を減少させる事を「ダメージ(ショック)を与える」と言います。 ・ショック状態とショックロール  PC、NPCが一度に6以上のショックを受けた時、そのPC、NPCは「ショック状態」に陥ります。1d6でショックロールを行い、ショックロール表の内容に従います。持続時間は30秒から一分間が目安です。PL、KPは任意でショック状態を長引かせる事が出来ます。 ショックロール表(最初の数字はショックロールの出目に対応) 1受けるショックを1d6追加し、「特に重いショック」とする。更に超能力者は全ての超能力が使えなくなる。 2気絶する。PL、KPはこのショックの原因に対する記憶喪失にしても良い。 3激しい恐怖、あるいは怒りを感じる。 4自傷行為に及ぼうとする。 5周囲の物を手当たり次第に投げたり、破壊しようとする。 6周囲の人や生物を攻撃しようとする。対象はPCが選んで良い。 ・応急手当  ダメージを受けた直後の対象に行う事が出来ます。[医療]ロールを行い、成功すれば直前に受けたダメージの半分(端数切り上げ)を回復します。この判定は[医療]に+3の修正を加えて行います。ダメージを受けた本人以外による応急手当であれば、修正値を更に+1します。ただし、応急手当に必要な道具、条件が揃っていない場合は+3の修正は打ち消されます。どこまでが「直後」に含まれるのかはKPが自由に決める事が出来ます。また、応急手当は一度のダメージに対して一度しか成功する事が出来ず、一度応急手当でダメージを回復したPC、NPCは、次にダメージを受けるまで応急手当を受ける事が出来ません(一人のPC、NPCが、複数人に対して応急手当を行う事は出来ます)。 ・励ます  自分以外の誰かがショックを受けた後、その対象に行う事が出来ます(直後で無くても構いません)。2d6が自身の[感応]の値以下([感応]ロールに成功)なら、その出目を1d6二回分の出目として流用し、対象の[精神]を出目の高い方の数値分回復させます。また、低い方の出目分、自身の[精神]を回復させます(出目が同じなら双方が同量回復します)。  励ますを行えるタイミングや頻度の目安は、シナリオ中の一日〜数時間に一回です。 ・一回のシナリオにつき一度だけ、ショックによって[精神]が0になるPC、NPCがいる時、計算の直前に割り込んで励ます事が出来ます(どのPCが行っても一回に数えます)。この時、励ますを行った側の[精神]は回復しません。 ・振り直し  自身の[精神]を1d6減らす事で、能力ロールをやり直す事が出来ます(精神(ショック、覚醒)ロールはやり直せません)。これはショックとして扱いません。  一度のロールに対して、[精神]を減らすたびに何度でもやり直す事が出来ます。そのロール中、二回目以降のやり直しで減らす[精神]は、一回目のやり直しで減らした[精神]と同じ値です。  やり直される前のロールの結果は、直前で回避され存在しなかった物として扱います。 戦闘 ・武器  身に着けている物は全て「武器」です。用途が防具であっても武器として扱い、「防御」に使用します。  丸腰の場合も、ルール上は「素手」という武器を持っている物として扱います(攻撃に使用できる武器を持っていないという状況には、基本的にはなりません)。 ・防御  ダメージを受けそうな時、[防御]ロールに成功すれば、自身の[防御]か、所持している武器の[耐久]を減らし、受けるダメージを軽減する事が出来ます([防御]が減ると以降のロールが失敗しやすくなります)(−にはなりません)。  軽減の為に減らす数値は[防御]と武器の[耐久]に自由に配分する事が出来ますが、一度の防御で[防御]より[耐久]を多く減らす事は出来ません。 ・覚醒  [防御]ロールの出目が両方とも1だった時、防御の処理に割り込んで、1d6の覚醒ロールを行い、覚醒ロール表の内容に従います(覚醒は防御側に発生します)。覚醒の処理後、中断していた防御の処理を再開します。  覚醒が発生したPCが超能力者でない場合、覚醒ロールを行う代わりに、PC作成と同じように武器型の超能力を発現させる事が出来ます。 覚醒ロール表 1自身の[感応]を1増やす。 2自身の[超常]を1増やす。 3自身の[精神]を2d6増やす。 4自身の[防御]を2d6増やす。 5自身の超能力の[威力]を+1増やす。 6自身の超能力の[耐久]を1増やす。 ・戦闘はPCと敵NPCが可能な限り交互に行動する事で進行します。誰かが一回行動したら、手番は相手側に移ります。戦闘に参加している全てのPCとNPCが一回ずつ行動すると「一つのターンが終わった」と見なされ、次のターンに移行します。全てのPCとNPCは一つのターンに一回ずつしか行動できません。手番が来たのに行動できるPC、NPCがいない場合、その手番はパスされ、再び相手側の手番に移ります。 ・戦闘時にPC側と敵側のどちらが先に行動できるかは、その戦闘の開始時にPC側と敵側のどちらが主導権を握っていたかで決定します。例えば、PCが敵の奇襲に成功したのであれば、先手はPC側からとなります。どちらが主導権を握っているともKPが判断できない場合は、1d6でロールを行い、出目が偶数ならPC側、奇数なら敵側が主導権を握っているとします。行動順は戦闘中に主導権が入れ替わったと見なされても変化しません。 ・敵の手番では、KPは"どの敵が攻撃するか"を宣言します(攻撃の内容はまだ宣言しません)。PLはそれに対して、攻撃を"どのPCが受けるか"を相談して宣言します(そのPCは敵の攻撃を自分に引き付ける事が出来ます)。 KPは先ほど攻撃を宣言した敵で、そのPCを攻撃します(ここで攻撃に使う武器の宣言と[威力]ロールを行います)。 また、KPは不自然な"引き付け"を別のPCに変えさせる事が出来ます。PLの相談がまとまらない場合は、KPが攻撃対象を選択します。  KPは"どの敵が攻撃するか"の代わりに"どの敵が何をするか"を宣言する事も出来ます。その場合は攻撃ではないので、PC側が"引き付け"を宣言する必要はありません。 ・PCの手番では、PCが"誰に攻撃するか"を宣言します(どのPCが行動するかはPLが相談して決めます。相談がまとまらない場合はKPが決めます)。KPはそれに対して、このターン中に同一の対象に攻撃したいPCが他にいないか確認してください。いない場合、PCは単独でその敵に攻撃します(ここで攻撃に使う武器の宣言と[威力]ロールを行います)。いる場合は、希望する全てのPCによる連携攻撃が発生します。  KPは不自然な攻撃を別の対象に変えさせたり、連携攻撃への参加を許可しない事が出来ます。  PCは"誰に攻撃するか"の代わりに、PCの移動や、その他のあらゆる行動を宣言する事も出来ます。KPは不自然なあらゆる行動宣言を他の行動に変えさせる事が出来ます。 ・連携攻撃と攻撃宣言の制限  あるターン中のPCやNPCの攻撃宣言の対象が他のPCやNPCと同一だった場合、同時に攻撃を仕掛ける「連携攻撃」が発生します。連携攻撃に参加する全てのPCが同時に、使用する武器で[威力]ロールを行い、それぞれが与えるダメージの合計を一度の攻撃によるダメージとして対象に与えます(連携攻撃を受ける側は一回しか防御を行えません)。  連携攻撃は自動的かつ強制的に発生し、連携攻撃に参加しなかったPC、NPCは、そのターン中に既に攻撃を受けた事がある対象に対して、そのターン中に後から追加で攻撃を宣言する事は出来ません。  連携攻撃に参加したPC、NPCも、そのターン中の自分の手番を消費したものとみなします。 シナリオ終了後 ・シナリオが終了したら、全PCの[生命]と[防御]をシナリオ開始時と同じにし、更に[精神]を2d6回復させます。  時間的に連続したシナリオを行う予定がある場合などに、KPはPCの[生命]の回復量を少なくする事が出来ます。  更に、PLはPCの能力の内一つの数値を1増やす事が出来ます。 その他 ・武器型の超能力  「武器型の超能力」は、[精神]を2減らす事でいつでも自身を武装させる事の出来る超能力です。戦闘中に発現する場合、手番を一回消費して武器型の超能力の発現を宣言し、そのターンの終了時に発現します。「遠隔型」ではない場合、能力者の身体から一瞬でも完全に離れるか、能力者自身が望めば、その瞬間に消滅します。また、ほとんどの超能力者は武器型の超能力を同時に一つしか発現させられません。  武器型の超能力の[耐久]の減少は一時的であり、再発現すると前回の発現中に減少した[耐久]は回復します。 ・[超常]の増加  PCが新たに超能力を目撃した場合、[超常]を1増やします。異なる超能力を目撃するたびに1上昇させます。「単純武装型の超能力」や「変形」は全て同じ超能力として扱い、実際には異なる超能力だったとしても、上昇は一回だけです。また、実際には単純武装型ではない超能力だったとしても、それがPCに判明していない状況であるなら、KPは判明するまで[超常]の上昇を保留します。  自身に超能力が発現した際にも目撃したのと同じように扱います(超能力者は必然的に[超常]が2以上になります)。 ・PCやNPCは、他のPCやNPCに対して[超常]ロールを行う事が出来ます。判定に成功したら、KPはPCに、対象が超能力者であるかどうかを教えてください。また、発現している武器型の超能力そのものに対しても[超常]ロールを行う事が出来ます。判定に成功したら、その超能力が「単純武装型」か「それ以外」のどちらに属するかを教えてください。また、単純武装型以外に属する超能力であった場合は、ある程度の能力の傾向も教えてあげてください(接触を条件に発動するかそうではないか、一撃で対象に致命傷を与えるような高い攻撃性のある能力であるかそうではないか等)。ただし、[超常]ロールで判明した情報は「勘と経験による予想」でしかなく、「実際に目撃した(存在を確かめた)」訳ではないので、新しい超能力だったとしても[超常]の上昇は保留されます。 etc.フレーバー ・超能力  物理法則を無視して様々な現象を発生させる不思議な力の事です。この世界の全ての人間の内、数%には何らかの超能力が備わっているとされていますが、公には存在が認められておらず、世間一般の人々の間では単なる空想上の存在でしかありません。小学生から高校生程度の年齢の子供に特に発現しやすく、新しい世代ほど更に発現しやすいとされます。また、親が超能力者であれば子供も超能力者になりやすいという遺伝性があります。 ・人外  人知の外にある怪物達の事です。人間並みの高い知能と強靭な異形の肉体を併せ持ち、更には超能力を備えた者も多く存在します。多くの人外は、人間そっくりの姿と、化け物としての元々の姿である「原形」の二つを持ち、自由に使い分ける事が出来ます。また、人外は人間の超能力者以上に数が少なく、存在もほとんど知られていません。性格は千差万別で、人間に友好的な者も、敵対的な者も存在します。既存の生物種からの突然変異で発生するとされていますが、詳しい事は人外たち本人ですら良く分かっていません。 ・武器型の超能力  この世界において最も頻出する超能力です。武器を作り出し、自身を武装させます。能力者の身体から湧き上がる白い煙のようにして発生し、それぞれの超能力に固有の形状に凝固して発現します。「遠隔型」ではない場合、能力者の身体から一瞬でも離れればその瞬間に煙に戻って消滅します。また、能力者自身が念じれば、身体から離れていなくても即座に消滅させる事も出来ます。発現にはその都度精神的な疲労を伴います。  発現者の精神状態によってリアルタイムに性能が変化する性質があり、より強い意志を持って使えば、より高い性能を発揮します。武器型の超能力が参照する「意志の強さ」とは「力を使う事への迷いや雑念のなさ」であり、この力が武器の形状を取る以上は、大抵の場合、それは明確な「殺意」、あるいは「悪意」の強さです。「誰かを守るために戦う」よりも、ただ「殺したい」と願う人間の方が、この能力の性能を引き出すという意味では適正が高いと言えます。とはいえ、一度始まってしまった戦いにおいてこの性質が有意な差をもたらす事はさほど多くはありません。  武器型の超能力には「発現しやすい性格の傾向」が存在し、既に武器型の超能力を発現している人間と親しくしていると、その影響を受けて周囲の人間も武器型の超能力が発現しやすくなるとされています。  「武器型の超能力」は、正式には「ラカセイ」という名称です。漢字では「螺禍征」か「螺嘉誓」と書きます(「螺禍征」の方が古く、かつ正しい書き方ですが、「螺嘉誓」と書く方が好まれます)。しかし、この名称を知っているのは「これがラカセイという名前である」と教えられた人だけであり、現代ではこの呼び方を知らない超能力者も大勢います。つまり、「ラカセイという名称を知っている」なら、その人は他にこれを知っている誰かに教えて貰った事があるか、それに準じた者であると言えます。もちろん、「武器型の超能力」でも「ラカセイ」でもない独自の呼び方をしている人も超能力者の中では珍しくないでしょう。 ・発現  超能力を使う事と、新しい超能力を使えるようになる事の両方を言います。また、「特定の超能力を今まさに使っている人」という意味で、超能力者とは別に「発現者」と呼ぶ事もあります。